ミルクケアとは

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序にかえて(全9項目中の1、以下簡略9-1)
 禅に冷暖自知という言葉があります。
飲む水の冷たさや暖かさは飲む者だけが知り、決して傍の者にはわからないという意味です。
ガンになった気持ちはその人以外には決してわかりません。
ガン患者同士でも心を共有することにはもどかしさがあります。
ガンのもたらす衝撃や怖れ、悲しみ、苦しみは自分で解決しなければならないのです。ガンが孤独な病といわれるゆえんです。
ミルクケアは何をめざすか(9-2)

 ミルクケアはガン患者さんに希望と安心を持っていただくために設立したものです。
私自身28年前38歳のときに前縦隔原発性腺外胚細胞腫瘍非セミノーマに罹患しました。ステージⅢの後期で、鵞鳥の卵大の腫瘍の一部が肺上葉に浸潤していました。それでも不幸中の幸いは大動脈や食道などに浸潤する直前だった事でした。
 手術は胸骨正中切開で
9時間に及び、肺上葉の一部を切除しましたが、腫瘍は全摘することができました。
セミノーマと異なり非セミノーマは予後がきわめて悪く、シスプラチンを中心とする、数種の抗ガン剤を用いる多剤投与の化学療法を施しても、短時日で再発転移をして、私に示されたデータでは最長でも1年後には腫瘍死というものでした。
次にそのデータを示します。図Aは抗ガン剤についての、図Bは施術後の生存期間を示します。
担当医師が私に開示してくれた臨床専門誌と同所載の縦隔腫瘍のデータです。私が現在あるのはこの医師の真摯な人格のおかげです。

 A

 

  B  

図(1) 表は臨床医に向けた著名な専門誌所載のもので、13例はすべて東京大学医学部・胸部外科での臨床例です。全切はガン細胞を全部摘出したこと。姑切および姑息切はその場しのぎに、一部だけしか取り切れないこと。

 私は幼少時から蜂や蝶を採集して標本を作る科学好きの子供でした。自然科学への興味とあこがれは、ちいさな虫から宇宙にまで及びその結果、科学というものは観察とデータから成り立っていることを知りました。私は自分のガンの状況を正確に捉えるには、私心を去って科学的な判断をしなければならないと思いました。
 一切の隠し事を排して前記の表に至るまでには医師との複雑な葛藤がありましたが、私は医師に恵まれたこともあって当時には稀な、インフォームド・コンセントによる正確な告知を受けました。表によれば最善の治療を受けて生存期間は1年で、おそらく半年を待たずに再発転移が起こるだろう事、猶且つ抗ガン剤による心身の回復不能なダメージから、現在の精神状態は失われ、無念と失意の日々の果てに最後を迎えることは確実だと思いました。
 事実、私以前に同病の青年
(この腫瘍は若い人に多い)がいたが最後には鼻血を頻発して亡くなったというのでした。鼻血は抗ガン剤治療の末期に副作用で血管壁がもろくなって起こります。
 この話は上記の担当医師が、治療を拒否して医大病院を出る判断をした私への餞として語ってくれたものです。そのときは互いに伏目がちでしたが瞬間目が合ったとき私は医師の目の奥に、(おそらく医師もまた私の目の奥に)言葉にならないせつなさを感じました。
 話は前後しますがあの告知のあとに文学青年の友人が、遠藤周作の著作に「私が見つけた名治療家32人」という本があり、その中にガン治療として粉ミルクを飲んで治す事が書かれていると知らせてくれました。調べるとそれはミルク断食というもので大阪にあり、入院中でしたが外泊許可をとって盛岡から新幹線を乗り継いで見学に行きました。その施設では皆が希望に溢れていたし、一応理論はありましたがその荒唐無稽さに好感をもちました。これはある意味で絶望的だった私にとってパラダイムシフトでした。
 何事でも他者に理解を求めるためには、理論が必要だと思われています。しかしこのガン治療の現状を鑑みれば、理論の精緻さに比して余りにも成績が振るいません。完全治癒に繋がらない【短期的な効果】という点だけを取り上げれば確かに理論の通りですが、治るに至らない治療に付随する理論にどれほどの価値があるでしょうか。
 確かに延命はある領域の患者にはこの上なく尊いものですが、いかに患者の窮迫した無言の要請とはいえ、医学および薬学が延命期間の延長ばかりに振り回されて、本来の目標である完全治癒の道を歩けない現状は非常に悲しいといわざるをえません。誰が悪いというわけではありません。未だ人類に力がないのです。年間
36万人の方々がガンで亡くなるというこの現状に於いては少なくともどのような治療法においても、患者に明るい希望が寄り添うことを願わずにはいられません。
 私が理論よりも荒唐無稽さを選択したのは、当時の私に『理論が完璧で精緻であるほど限定的治療の証拠』だという認識があったからでした。
退院するとすぐ大阪へ行き、その治療法を学びました。研修期間は20日間でしたがそれから27年と7ヵ月が過ぎました。
 「不惑」まえの青年も「知命」「耳順」の年を経て、昨年の誕生日には論語にもその名のない「高齢者」となりました。
以上は私の体験をできるだけ正確にお伝えしましたが、クライアントの方々の秘密は絶対に厳守いたします。また医師ではない私共もクライアントの方のガンの種類や、どのような治療法をしたかなどについて、ご相談のない限りお尋ねはいたしません。


 B


 その理由は図(1)Bの非seminoma146のデータをご覧になればお解りいただけると思いますが、146は細胞の型こそ違えともに全切であり、術前放射線治療も同様に行いましたが、それぞれ1年後と5ヵ月後、1年後という時間の差があります。さらに2では非手術でありながら多数の姑切(姑息切)の方々よりも長い、1年後となっています。このデータを見るに、現在までに知られていないさまざまな要因が存在するのでしょうが、私共がそれを究明することは不可能です。
 医師は常に「後顧の憂い」をなくそうと、その時点で最高の治療法を行うはずですし、既に過ぎたことを私共が省察をしても何の益もありません。ですから医学的見地から行う問診に類することは一切いたしません。
 
ミルクケアは徹底的な体質改善法です。背負ったものの軽重で結果が異なるものではありません。私の場合をお考えいただければご理解いただけるものと信じております。

ミルクケアの実際(9-3)

 ミルクケアは決して宗教やスピリチュアルなどの精神的なものではありません。
たしかに宗教的な精神感応作用で病気が治ったということが古来より言われています。そのようなことはあって欲しいしまたあると思います。しかし私にはそのような事はありませんでしたし、そのような能力もありません。
いまだ完全に解明されていなくともガンは物理的・生理的な原因から発生するはずです。
この世界に存在するものは必ず構造を持っています。ミルクケアも同じく物理的・生理的な構造でガンに対応するケアメソッドです。

ミルクには3種類あり状況によって使い分けることが効果を増大させます。


ミルキーウェイ

ミルクと酵素を仙人秘水で溶かしたベーシックアイテム。
野外でも作れます。


ネクタール

ミルク、ヨード卵、粉末イオンサプライを100%ジュースで溶かした活動用高栄養ミルクドリンク。
野外でも作れます。

アンブロジア

ミルク、ヨード卵、バナナ、100%ジュースをミキサーで攪拌した、滋養バランス豊かな家庭用ミルクドリンク。

ロードマップ(9-4)

1      基本5年間は12回必ずミルクを飲む。

2      基本3ヵ月間は134回のミルクを飲むだけにする。
3ヵ月間のことなので水以外のものは我慢する習慣をつける。厳しいですがこの集中力がガン克服への底力です。

3      始めに必ず15日間の研修に入る。自宅では99%失敗に終わります。
(特殊なご事情の場合デリバリーホームケアもあります)

 4      ミルクケアはミルクを飲むだけではありません。
  成果の半分はリラクゼーションによる効果なので、ご自身はもちろんご家族等にも方法を覚えていただきます。ご家族とともに病を克服していくというコンセプトです。
リラクゼーションはマッサージや指圧に似ていますが、ツボや経絡といった難しいものとは無縁です。とても簡単なのでどなたでも覚えていただけます。また体力に自信がない方にもこのリラクゼーションなら負担はかかりません。おひとりの方は各種のマッサージ機器でも十分な効果が期待できます。

4の詳細(9-5)

 ミルクケアは徹底した体質改善法だと前述しました。
ミルキーウェイを飲むとすぐお腹に強いゆるみがおこります。これは胃腸の健康的な反応で、腹痛などで起こるゆるみとは異なり、明るい爽快感を伴うのが特徴のゆるみです。
ミルクは腸内に留まって腸内環境を劣化させている滞留物や、腸壁にこびりついた老廃物を、強力なデトックス作用で体外に排出させると同時に、ほとんど老廃物を出さずに一日に必要な栄養を補給します。
 5日ほど経過すると便は少量の真っ黒なタール状になり、驚くほど体が軽く感じられるようになります。
いわゆる毒素が抜けたわけですが、イメージとしては腸壁にこびりついた老廃物が剥がれ、さらに腸壁内部の栄養吸収組織に潜在していた老廃栄養素も、強力なデトックス作用で滲出させられ体外に排出されるという感覚です。勿論これはイメージですから医学的に証明されたものではありませんが、きわめて爽快な感覚です。ここまでが腸のミルクケア反応によるデトックス効果ですが、不快感や痛みはまったくありません。
 折り返してのあと10日間は腸内フローラを育てます。ミルクドリンクは3種類あって、生卵やバナナをミキシングした「アンブロジア」や「ネクタール」を中心にケアを行います。
 有用菌の代表格は乳酸菌ですが、ミルクに含まれるラクチュロースは乳酸菌の食物ですから、ミルクを飲むと自然に乳酸菌も増えるのです。しかしだからといって生体が慢性的な空腹感などのストレスにさらされていては有用菌は減って、腸内フローラのバランスが悪化してしまいます。そこで栄養価が高く満腹感をそなえた2種類のミルクドリンクを中心のミルクケアを行うのです。
 前半の
5日間を経過した心身は非常に落ち着いていて、なおかつ積極性に富んだ状態です。

私自身研修の後半は大阪城公園に行ったり、電車やバスを乗り継いで奈良の法隆寺や中宮寺などに行きました。体を動かして体内循環を活発にするのです。前半は長年月ため込んだ毒素ともいうべき老廃物のデトックスが最大目標でしたが、後半は健康的な血液を造り、体の隅々にまで行き渡らせることによって、全身的な体質改善を行います。
 現在ガンは遺伝子の老化による悪性の変異だといわれるようになりましたが、純良なミルクから造られた新鮮で健康的な血液によって、細胞に新しい活力を与えさらに免疫賦活力を促進させるのです。

 さて成果の半分はミルクで、半分はリラクゼーションだといいましたが、リラクゼーションのないミルクケアは私の経験からは考えることができません。体の外部から刺激を与えて心身の改善をはかる理学的療法は古くから人間の友でありました。
 人間は生活の安定を求めますが安定は効率化からうまれます。効率化は人の日常的起居も能率化しますから、体の部位で使わない所がでてきます。それが長い時間になればその部位の血液をはじめとする体液が鬱血や鬱滞となって、不快な鈍重感や痛みとして顕れます。これを改善しなければ大袈裟なようですが体液性免疫が低下して、さまざまな病気を誘因させてしまいます。
 ガン細胞の増殖は体液の劣化による免疫力の低下が遠因と考えなければなりません。たとえ手術で全摘し、抗ガン剤や放射線でガン細胞を一時的に消滅させても、長年の体液劣化による体液性免疫力が低下をしている状態では、高い確率で再発してしまうことは避けられない、これが私をしてミルクケアに向かわせた基本的な考えでした。
 私は妻に約
10年ほとんど毎日このリラクゼーションをしてもらいました。このリラクゼーションを「ビッグフット」と呼んでいます。ビッグフットは名前そのまま足で優しく踏むのです。背中、腰、両腕、両足の太股、ふくらはぎ、足の裏、これなら踏む人の負担も軽く毎日でも可能です。研修時ご本人はもちろんご家族にもこのビッグフットを覚えていただき、ご家庭でフットケアをしていただくのです。

 夫婦、親子、兄弟姉妹などのご家族が互いに毎日、このビッグフットをラジオ体操さながら日本国中で行ったら、健康保険の会計はかなり改善されることでしょう。

3の詳細(9-6)

 ミルクケアでは必ず15日間の研修を行います。
これはクライアントを食欲の誘惑から保護をするためと、ミルクケアの里程を明確に展望するためです。
ミルクケアは乳がんは10年、他のガンでは5年間しっかりと続けなければいけません。これは生存率から出された数字です。
 私のケースでは6ヵ月ごとに岩手医大第三外科外来で胸部レントゲン写真と採血検査をしましたが、腫瘍マーカーが消えることはありませんでした。劇的なことに腫瘍マーカーが消えたのはちょうど5年後でした。その時はっきりと5年生存率には根拠があると思ったものでした。
 全摘であっても常に再発の可能性があると思わなくてはいけません。里程標の到着点を
5年後と定めて歩むにはしっかりした展望をもたなくてはなりません。この15日間で食欲の誘惑に負けない精神的柔軟性を養い、一日が一生に繋がるような歩き方をマスターします。

 目前の仕事や人間関係にとらわれて、最初の15日間を自分に与えてやれないようでは、先々諸般の条件に負けてミルクケアを続けることはおそらく無理でしょう。
 ミルクケアは細部にいたるまで私の経験を踏襲して行います。私自身当時教示された基本を忠実に厳守、履行して現在に至っています。経験以外にアレンジして行けばやがては既存の栄養学やサプリメントなどの一般常識的な手法・発想に堕ちてしまいます。人は易きに付きやすいものですし、日々「正常性バイアス」のささやきがあります。「非常識や逸脱性は避けろ、論理的整合性に戻れ、世間並みが一番正しい」といった声です。
 私たちが何か新しいことを始めようとしたときや、良いアイデアが浮かんだときに私たちの勇気を挫くのは、常にこの正常性バイアスなのです。伝説では釈迦が涼しい菩提樹の下でいよいよ悟りを開こうとしたとき、悟られてはならじと無数の悪鬼や邪気が釈迦を幻惑しようと襲いかかったとありますが、それこそが「正常性バイアス」だったのではないでしょうか。「正常性バイアス」という悪鬼や邪気のために、どれほどの組織や会社が「啓発」に時間とお金をかけていることでしょう。

2の詳細(9-7)
 15日の研修が終わって家に帰ると元の日常も戻ってきます。日常のなかでのミルクケアは初めての経験なので戸惑いも多々あることでしょう。さあこの3ヵ月が正念場です。

 朝は必ずミルキーウェイ。昼はネクタール。夕べは再びミルキーウェイとするのが理想的です。夜は早く寝てしまわないとお腹がすいて困ったことになります。夜更かしは絶対にいけません。午前中人と会う予定のあるときには朝はネクタールにします。昼もネクタールにして夕べにミルキーウェイを飲みます。終日家にいて特に動かない日には朝・昼ともにミルキーウェイにして夕べにアンブロジアを楽しくいただきます。
 特に理想をいえばこの3ヵ月間は仕事をせずに過ごしたほうが良いでしょう。それが無理ならできるだけ、できる限り仕事をセーブして疲れさせないことが「最も大事」です。疲れるとムダな食欲もでてきますし、体内環境も悪くなりがちだからです。
どこか失念しましたが外国の諺に、「明日やれることを今日やるな」というのがあるそうですが、この3ヵ月間は此の伝で行きましょう。この3ヵ月が過ぎれば1食軽い食事ができるようになります。仕事も以前のようにできるでしょう。
 私のケースをもう一度。
私は198725日初診と同時に即入院。316日手術、331日右胸部動脈点滴による化学療法開始、431回目終了。医師は妻に「化学療法施術中にも出てくる(再発)かも知れないので、抗ガン剤は多目に投与します」といったそうです。計画ではこれを4週間おきに35回行う予定でした。((1)A3POMB参照)しかし私はこの1回のみで66日岩手医大を退院しました。つまりいつ再発があってもおかしくない身だったから、ミルクケアを真剣にやらないわけには行かなかったのです。
 このデータから或る人はいうでしょう。1回の抗ガン剤が効いたから治ったと。たしかにその可能性はあります。しかし「3の詳細」でも示した通り、腫瘍マーカーが消えたのは5年後だったのです。どの見解を採るかはクライアントの方がお決めになることです。

1の詳細(9-8)
 研修の15日間を短距離とすると3ヵ月は長距離のようでした。これからはマラソンに譬えられるかもしれません。

良いときもあれば深刻な気持ちになるほど悪い日もあります。手術の跡が痛かったり、私のように胸骨を切断した後のきわめて不愉快な疼きが、あるいは再発の兆候だろうかと暗澹たる思いになったこともあります。切除できなかった組織が増えつつあるのではないかという、調子の良いときには忘れていたあの恐れの気持ちが再び蘇る方もあるでしょう。さらに告知されたときに自分を襲った寂寥感がかすかながらよぎるときもあると思います。離人症の再来です。そういう日には無理に外出をしたり、いたずらに元気に振る舞ったりせずに安静にすることが最も肝要です。明日のために力を温存しておき、いつでも的確な判断ができるように自分を励ましながらその日を送りましょう。
 1日に1回食事を摂ってもいいでしょう。ただ禁忌があります。栄養学は盲信してはいけません。さらにサプリなどいたずらに体力増強に関する情報を採り入れることは避けなければなりません。栄養学はガンの治病を考慮の対象にしているわけではありません。栄養摂取に関する学説や経験則は、過激なものから穏健なものまで山ほどありますが、そのほとんどが病気予防の食生活やガンにならない体質作りのためのものです。
 しかし私たちはもう既にガンに罹患したのです。私たちガン患者に必要な情報は「ガンの治病に効果的な食物」の知識です。それも観察とデータによる科学的な裏づけのある情報なのです。実際にガン患者を臨床的に対象者とした科学的データを持たず、発想だけに依拠したような理論は迷惑ですし、大変危険なものだと思います。
 現在個別の食品から抽出した物質が、ガン細胞の縮退に効果があるという研究は盛んに行われていますが、それが直接ガン患者の食生活に応用できるわけではないのです。

科学的裏づけを持った食品群とその具体的利用法が確立されれば、ガン患者の食生活は飛躍的に向上するのですが、いまだガンそのものの発生メカニズムが明確に定義されていない現在、ガン患者の治病用日常食の確立などは望むべくもないでしょう。ですから科学的根拠が希薄だといわれようとも経験則を用いることが次善の策にならざるをえません。
 ミルクケアはガン患者がガンの種類や抗ガン剤投与の内容のデータを持った上で、実際に長期間に亘って行った食事療法です。これは経験則なので有効性の医学的証明はありません。ですからミルクケアに関する説明や理論は、科学的根拠を欠いているので一種の推論に過ぎません。しかし経験則なのです。ですからあるいは失礼にあたるかも知れませんが、空理空論よりはよほど使い勝手のよいものだと思います。
  ミルクケアは体に本来備わっている免疫賦活力を、長期間の体質改善によって高めようとするのに対して、栄養学はあくまでも外部から合理的に栄養素を取り入れて短期的に反映を見ようとするものです。栄養学を援用した「ガン栄養療法」に代表される短期的な高栄養摂取では、患者の体力向上とともにガン細胞も増殖される恐れがあります。そして増殖したガン細胞を化学療法や粒子線、放射線などで叩くのなら、不謹慎な言葉を使えば「プラマイゼロ」で苦しく大変なのは患者だけです。
 事実私自身、それらの事情に無知だったときは、手術後のICUを出てから意識的に高栄養の食べ物を食べました。明日がないかも知れないという気持ちも手伝って、家からアワビやステーキを作ってきてもらい、妻が入院食を食べました。もしミルクケアの存在を知らなかったらおそらく私は・・・。
 以前植物性油脂のマーガリンは動物性油脂のバターにくらべて非常に健康的な乳製品として扱われていました。しかし今世紀に入ってマーガリンの特徴である水素添加から生じたトランス脂肪酸の人体に及ぼす悪影響から、すでにアメリカでは販売禁止になっている所もあるほど扱いが変わったにも拘らず、まだわが国では緩い規制になっています。事実世界的ファストフードチェーンの或る社は、本国と日本で使う揚げ油が違うのです。それは日本が例によって諸般の都合で規制が甘いからなのです。
 学問の世界ではそれまで正しいと思われていたものが、ある日を境にして急転直下悪しき評価に変わるものですが、マーガリンはガンとの因果関係もあるという調査結果もあり、子供のころから食べてきた私たちには、無関係だと知らぬふりはできません。
 私見ですが栄養学は食物に含まれる栄養素だけを見て、体内に蓄積される老廃物についてはほとんど考慮されていないように見受けられます。外部からの短兵急な栄養摂取の考えは避けるのが賢明だと信じます。ただしこれはガンを抱えた人を念頭に置くもので、一般の人々に対しての栄養学は、健康増進や平均寿命、健康寿命の延長にはきわめて重要な学問だと思っています。
 旧約聖書のモーセの寿命は
120歳だったそうですが再生医療と栄養学の発展は、遠くない将来それを実現させるに違いないと思っています。私たちも希望をもちましょう。
 さて食材ですがこれは2つのタイプに分かれます。お米と麺です。麺といっても日本そばで「かけそば」か「もりそば」だけです。なぜかというとトッピングのあるものはきりがなくなるからです。天ぷらそばなどの旨味の濃い油物を摂ると、やがてはそばでは満足できなくなって、ラーメンやスパゲティに食指が動いてしまいます。
 私は横浜で生まれ育ったので誰よりもラーメンが好きでした。医大病院には内緒ですが入院してから手術の数日前まで、ほとんど毎日
1回はパジャマにガウンを羽織って病院裏手の好みのラーメン屋に行ったり、病棟の家族待合室に出前を取って食べたりしました。あとで聞くと病棟の患者たちは私の行動をいぶかしく思っていたそうですが、手術後に私の病状を知ると皆、うべなるかなと思ったそうです。
 そんな私もいよいよミルク道場に入ると決めて、最寄りの大阪森の宮駅に着いたその日、エキナカの中華料理店でこれが最後と決心して、何を食べようかと悩んだ末にワンタンメンを食べました。次にラーメンを食べたのはそれから
8年後でした。
 お米は七分づきの胚芽米が最善です。胚芽米と白米のおにぎりの栄養価を比べてみればどちらが良いか一目瞭然ですね。おかずは精進料理のような質素なものが最適です。
魚はともかく肉類は絶対にいけません。赤身肉のミンチについていわれている特定の物質も、ガンや心疾患の誘因因子として危険なものですが、何よりも肉類は油や調味料・香辛料などの刺激物等を使うので危険なのです。特に油や香辛料はあとを引くので、我慢するのは容易ではありません。
 勝手な言い分とお叱りをいただくかも知れませんが、世界中で肉がこれほど消費されるのは、肉料理が美味しいからというよりも調理方法によってアルコールやニコチンほどではなくとも癖になるからだと思います。また肉は消化過程で悪名高い発ガン物質ニトロソアミンを発生させるので、肉類は酒とタバコ同様絶対に食べてはいけません。

 せっかくミルクケアで醸成された研ぎ澄まされた舌を台無しにしてしまっては余りにももったいないと思います。栄養バランスは2回のミルクで十分摂れています。ご飯は楽しむためのものと決めて、できるだけ質素なものにしましょう。七分搗きのご飯に薄味の一汁一菜、私はこれを「サムライ」と名づけました。
 もう一つ重要なことは体を冷やさないことです。私は真夏以外少し疲れたと思ったときは腰に肌着の上から使い捨てカイロを貼るようにしています。また同様にしておへそにも貼っています。喉の調子が悪いときには首にネギを巻くようにカイロを使います。これはできるだけ体を暖めて体内循環を活発にするためです。肌の個人差もありますから何度も試して自分に最も良い方法を見つけることです。
 次にお風呂です。私は5年間腰湯で入りました。38度前後の温めの湯船に1520分みぞおちの下まで浸かります。頭皮から汗が流れ出ても、胸、下膊(手首からひじまで)から玉の汗が湧きでるまで我慢します。腕は左右で発汗までの時間や発汗量が異なるのは意外でした。上がるときには手足の甲を水で軽く流します。こうすると末梢からの放熱が防げます。
 さて温泉ですがこれには禁忌症というのがあります。入浴してはいけない状態の人のことですが、浴室入口に掲示されていいる成分分析表の一番下に禁忌症として悪性腫瘍が表示されています。なぜ私たちの疾患が禁忌の対象なのか、多くの関係者に聞きましたが尤もらしい意見はあるものの、本当に医学的根拠があるものなのかかなり疑わしいように思います。
 私の体験は次のようです。198725日の初診日即入院の数日前私は営業で大船渡周辺を回っていました。運転のときは良いのですが降りるともう歩けないくらい大儀でガニ股で歩くようでした。息も荒く旅館の部屋が2階だったので上り降りがきつく、風呂場に行くのも壁伝いでした。ところが体を洗って湯船に浸かるとまるで嘘のように爽快になってきました。息も普通に戻り五感もしっかりして、それまでこんなに気持ちのいい風呂には入ったことがありませんでした。おそらく血の巡りが良くなったからでしょう。
 もうそのとき既に前縦隔部にはガチョウの卵くらいの悪性腫瘍が存在して、一部は肺に浸潤していたわけですが、これを体液の循環が良くなったから腫瘍も活発になると考えるか、苦しんでいる患者の症状を一時的にせよ寛解させられると考えるか、俯瞰的に見ればどちらにも一理がありますが、患者としては一時的でも寛解を望むでしょう。

 退院して温泉に入るときにはこの経験から、表示を無視して入ることに決めていました。余談ですがあるとき秋田の温泉でいつものように腰湯をしていました。私の手術痕は喉の真下からおへそのすぐ上まで、真一文字にきれいに切られているので注目を集めるのですが、人は皆気を遣って知らないふりをしてくれていました。ところがこのときは何の手術かとダイレクトに聞かれたので「心臓で」と答えたのですが、納得せず「心臓ならこうやって切るんだが」と懐疑的なのです。入院患者でありながらラーメンの出前を取るような私ですから、本当の病名をいっても良かったのですが、入口の禁忌症に引け目を感じているために悪性腫瘍とは言えませんでした。
 ガン治療で有名な玉川温泉なら、入浴者のほとんどが何らかの病を抱えているので、あのように気を遣うこともないでしょうが、一般人が健康増進のためにきている場所ではなかなかいえません。ウイルス性のガンもありますから、お湯が汚染されるのではないかと心配する人もいるでしょう。悪性腫瘍が禁忌症というのはガン患者にはちょっとつらい仕打ちかも知れません。

生い茂る草を左右にふみわけて(9-9)
 ミルクケアでガンは治るかと聞かれたらわからないと答えます。
私が医者だったら、大丈夫28年生きている人もいる頑張れというでしょう。だが私は医者ではないので例え28年生きている人を知っていてもまた、その人の当時のデータが残っていて、当時の担当医師から間違いなくその人で、診断所見もその人の持っている資料の通りだと証明してもらっても、大丈夫生きている人もいるとはいえないのです。
何がいけないのか?まず大丈夫だという断言は診断行為と同等なので医師法違反になる恐れがあるのです。。
 そして大丈夫という曖昧な言葉は、医師ならばその医学的権威とそこから派生する社会的信用性から、患者の状態をあらわす明確な意味もった言葉として通用するのですが、例え28年生存してきたその本人でも権威や信用がないので、大丈夫は曖昧な紛らわしい何らかの意図を含んだ言葉として扱われるのです。
 ですから私はミルクケアでガンを治したとはいわず、悪性腫瘍だったが28年生きてきた、そのなかでミルクケアをやっただけだというのです。さらに8年以上肉は食べなかったとか、もりそばのツユの中にニンニクの搾り汁を入れたとか、サラダの材料として自家栽培のアシタバを主菜にしたが、夏の終わりにすべてキアゲハの幼虫に食べられてしまったとか、また腰湯を5年続けたとか使用した水は仙人秘水だけだった、さらに卵はヨード卵だとか、ビッグフットという足踏みリラクゼーションを10年やったとかいうのです。
 これらの行為はみな縦隔腫瘍に良いかと思ってしてきたことだけをいっているのです。28年生きてきたことの中で、それらの何が治病に効果があったのかまったくわかりません。私としては確かめることはできないし、28年生きてきたのだから今更証拠だてることもないのです。

 さて思えば私たち1987年組のガン患者はこんなことをいっていたものです。
「ほとんどのガンはあと10年もすれば治るだろう」と。そして自分たちは「ガンになるのが少し早すぎた」(残念だ)と。
 なぜならあの頃はまるで連日のように、新治療法開発とか画期的成果などという言葉がマスメディアに踊っていました。近い将来それらの技術や成果の応用がガン患者に画期的な福音をもたらすとしても、自分たちには間に合わないと思わざるを得ない状況だったからです。
だから当時亡くなられた方々の中には悔しくて無念の涙を流しながら逝かれた方も多かったかもしれません。
 私のように一昔と一昔と半昔以上生きてきたものは、悲願の1987年組の人々にどうか心安かれと、鎮魂の意を伝えたいと願うのです。
当時ガンで亡くなられた方の1年間の総数は16万人でした。しかし《2014年のガン統計予測》によれば、年間36万人近くの人々がガンで亡くなるというのです。この現状を彼や彼女が知れば、ガンは昔も今も関係なく辛く悲しいものだというかも知れません。

 道元は座禅の極意を問われて座禅は「只管打座」、つまり『悟りを求めるものではなく只座ること』という意味のことをいったそうですが、ミルクもまたガンを治そうと気負うのではなく、ただ一期一会の滋味を味わうだけという心境で日々を送れば、おのずから道はおだやかに開けてくるでしょう。

 はじめにミルクケアはガン患者さんに希望と安心をもっていただくために設立したものだと申しあげました。ミルクケアはクライアントとそのご家族に真の平和をもたらすムーブメントでありたいと願っています。

ミルクケア  主宰  白鳥 碧